グリーフケアの相談先|つらいとき、どこに相談すればいい?

大切な人を亡くしたあと、

「誰かに話したいけれど、誰に話せばよいのか分からない」

「家族には心配をかけたくない」

「こんなことで病院へ行ってよいのだろうか」

「同じ経験をした人と話したい」

と感じることがあります。

グリーフケアには、一つだけの決まった相談先があるわけではありません。

話を聞いてもらいたいのか。

同じ経験をした人とつながりたいのか。

眠れないなど身体にも影響が出ているのか。

生活や相続について困っているのか。

今すぐ誰かと話したいのか。

必要としている支援によって、適した相談先は変わります。

大切なのは、

「どこに相談するのが正解か」を考えすぎて、一人で抱え続けないことです。

最初に相談した場所が自分に合わなければ、別の場所へ相談しても構いません。


1|グリーフケアはどこに相談できる?

グリーフについて相談できる場所は、大きく分けると次のようになります。

今の状態・相談したいこと主な相談先
誰かに気持ちを聞いてほしい電話相談・SNS相談・グリーフケア団体
同じ経験をした人と話したい遺族会・自助グループ・分かち合いの会
悲しみについて専門家と話したい公認心理師・臨床心理士などによる心理相談
不眠・食欲低下などが強い精神科・心療内科・かかりつけ医
どこへ相談すればよいか分からない精神保健福祉センター・自治体
自死で家族を亡くした自死遺族専門の相談機関・遺族会
相続や借金なども困っている弁護士・司法書士・法テラスなど
死にたいほどつらい24時間相談窓口・医療機関・緊急時は119

グリーフは心だけの問題とは限りません。

生活、家族、お金、仕事、住居などの問題が悲しみをさらに大きくしている場合には、それぞれの専門家を組み合わせて利用することも大切です。


2|まず「話を聞いてほしい」とき

必ずしも治療やカウンセリングを受けたいわけではなく、

「とにかく誰かに話したい」

ということがあります。

その場合には、電話相談やSNS相談を利用できます。

知らない人だからこそ話せることもあります。

名前を明かさず利用できる相談窓口もあります。

「相談するほどではない」

と考える必要はありません。

言葉にするだけでも、自分の中で起きていることを整理するきっかけになる場合があります。


3|公的な相談先|こころの健康相談統一ダイヤル

どこへ相談したらよいか分からない場合に利用しやすいのが、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」です。

電話番号:0570-064-556

全国共通番号から、電話をかけた地域の都道府県・政令指定都市などが実施する公的な相談機関につながります。

受付時間は地域によって異なります。厚生労働省は、平日夜間について専門職による相談対応も案内しています。

「グリーフケアを受けたいけれど、地域のどこへ行けばよいか分からない」

というときの入口として利用できます。


4|精神保健福祉センター

各都道府県などには、精神保健福祉センターがあります。

こころの健康についての相談を行っており、

「眠れなくなった」

「何もする気が起きない」

「悲しみが強く生活ができない」

「病院へ行くべきか分からない」

といったときにも相談先の一つになります。

本人だけでなく、家族から相談できる場合もあります。

地域ごとに電話番号や受付時間が異なるため、住んでいる地域の精神保健福祉センターを確認してください。厚生労働省は全国の公的相談窓口を案内しています。


5|カウンセリング・心理相談

「家族や友人ではなく、第三者にじっくり話したい」

という場合には、心理相談を利用する方法があります。

公認心理師や臨床心理士などが対応する相談機関があります。

カウンセリングでは、

悲しみ。

怒り。

後悔。

罪悪感。

家族関係。

故人との思い出。

今後の生活。

などについて話しながら、自分の気持ちを整理していきます。

グリーフを「忘れさせる場所」ではありません。

自分のペースで気持ちを言葉にし、これからの生活を考えていくための場所として利用できます。

相談先を選ぶ際には、担当者の資格だけでなく、死別やグリーフケアについての相談経験、料金、相談方法、継続頻度なども確認するとよいでしょう。


6|精神科・心療内科・かかりつけ医

悲しみそのものだけであれば、必ず医療機関へ行かなければならないわけではありません。

しかし、

眠れない状態が続く。

ほとんど食事がとれない。

強い不安が続く。

仕事や家事ができない。

身体が動かない。

強い自責感が続く。

といった状態では、医療機関への相談も検討する必要があります。

最初から精神科へ行くことに抵抗がある場合には、普段受診しているかかりつけ医へ相談する方法もあります。

必要に応じて、適切な診療科を紹介してもらえることがあります。


7|遺族会・自助グループ・「分かち合いの会」

家族や友人に話しても、

「分かってもらえない」

と感じることがあります。

そのようなとき、同じような死別を経験した人が集まる遺族会や自助グループが支えになる場合があります。

こうした集まりは「分かち合いの会」などの名称で開催されることもあります。

配偶者との死別。

子どもとの死別。

自死による死別。

病気による死別。

流産・死産。

など、特定の死別経験を対象としている団体もあります。

同じような経験をした人だから話せることもあります。

一方で、

「他の人の話を聞くのがつらい」

と感じることもあります。

参加したくなければ、無理に参加する必要はありません。

グループ形式が合わない人には、個別相談の方が適している場合もあります。


8|亡くなった人が治療を受けていた病院

亡くなった人が長期間治療を受けていた場合には、治療を受けていた医療機関へ相談できる場合があります。

病院によっては、

医療ソーシャルワーカー。

心理職。

緩和ケア担当者。

がん相談支援センター。

などが、家族や遺族の相談に対応していることがあります。

特に長い闘病生活を経た死別では、

「自分の判断は正しかったのか」

「もっと別の治療があったのではないか」

という思いが残ることがあります。

治療経過について確認したい場合には、治療を担当した医療機関へ相談することも一つの方法です。


9|宗教者へ相談する

寺院、教会などの宗教者が、死別後の相談を受けていることもあります。

宗教者には、

死。

喪失。

供養。

死後。

故人との関係。

について話しやすいという特徴があります。

特に葬儀を依頼した寺院などとの関係が続いている場合には、

「最近、故人のことばかり考えてしまう」

というような話をしてみることもできます。

宗教的な考え方が自分に合わなければ、無理に利用する必要はありません。


10|自死で家族を亡くしたとき

自死による死別では、

「なぜ気付けなかったのか」

「自分が止められたのではないか」

という強い罪悪感を抱くことがあります。

また、周囲へ死因を話しにくいなど、自死特有の孤立が生じることもあります。

そのため、一般的なグリーフケアだけではなく、自死遺族を専門に支援している相談先を利用する方法があります。

厚生労働省は「全国自死遺族総合支援センター」などを自死遺族の相談先として案内しています。同センターでは電話相談や、各地の「分かち合いの会」などの情報提供が行われています。

自死については、一般の死別とは別に専門的な支援を受けることを検討してよい分野です。


11|流産・死産・新生児との死別

流産や死産、新生児との死別では、

周囲から、

「まだ一緒に生活していなかったから」

「また子どもを持てるから」

などと言われ、悲しみを十分に理解してもらえない場合があります。

しかし、その子どもについて描いていた未来まで失ったという意味では、大きなグリーフが生じることがあります。

産婦人科。

出産した医療機関。

自治体の母子保健担当。

心理相談。

流産・死産を経験した人を対象とするピアサポート。

などへ相談する方法があります。

特に身体の回復と心理的な悲嘆が同時に起こる時期であるため、身体について不安がある場合には、まず医療機関へ相談してください。


12|相続・お金・住居の問題がつらさを強くしている場合

死別後の苦しさの原因が、

悲しみだけとは限りません。

相続。

借金。

生活費。

家賃。

住宅ローン。

仕事。

遺族年金。

実家の処分。

親族とのトラブル。

などが重なることがあります。

こうした問題は、グリーフケアだけで解決することはできません。

法律問題であれば弁護士や司法書士。

税金であれば税理士。

年金であれば年金事務所。

生活困窮であれば自治体などの自立相談支援機関。

というように、問題に応じた専門家へ相談します。

厚生労働省の相談案内でも、こころの問題だけでなく、生活困窮・法律・金融などについて専門窓口へつなぐ仕組みが案内されています。

心の問題と生活の問題を分けて考えることも、グリーフケアの重要な部分です。


13|電話で話すことが難しい場合

電話で自分の気持ちを説明することが苦手な人もいます。

その場合には、LINEやウェブチャットなどを使った相談方法があります。

厚生労働省は「まもろうよ こころ」で、電話だけでなくSNS・チャットによる相談窓口も案内しています。例えば「あなたのいばしょ」は、無料・匿名のチャット相談を24時間365日実施していると案内されています。

話すことが難しいときには、

文字で相談するという選択肢もあります。


14|どこへ相談すればよいか分からないとき

グリーフケアの相談先を調べると、

病院。

カウンセリング。

自治体。

NPO。

遺族会。

電話相談。

など、多くの選択肢が出てきます。

かえって、

「どこを選べばよいか分からない」

となることがあります。

そのような場合には、最初から最適な場所を探そうとしなくても構いません。

まず、

こころの健康相談統一ダイヤル。

地域の精神保健福祉センター。

自治体の相談窓口。

などへ相談し、

「家族を亡くしてからつらい。どこへ相談すればよいか分からない」

と伝える方法があります。

厚生労働省の「支援情報検索サイト」では、地域、相談方法、悩みの内容などから相談窓口を探すこともできます。


15|相談先が合わなかったら変えてよい

初めて相談した相手と合わないこともあります。

話を理解してもらえなかった。

言われた言葉がつらかった。

グループ形式が合わなかった。

カウンセラーとの相性が合わなかった。

ということもあります。

一つの相談先が合わなかったからといって、

「相談しても意味がない」

と考える必要はありません。

相談先を変える。

担当者を変える。

グループ相談から個別相談へ変える。

電話相談から対面相談へ変える。

という方法があります。

相談する人を選ぶ権利は、相談する側にあります。


16|相談するとき、何を話せばよい?

相談する前に、

「うまく説明しなければ」

と思う必要はありません。

最初は、

「家族が亡くなってからつらいです」

だけでも構いません。

そこから、

眠れない。

一人になると苦しい。

故人のことばかり考える。

自分を責めてしまう。

誰にも話せない。

今後どう生活すればよいか分からない。

と、話せる範囲で伝えればよいのです。

泣いてしまって話せなくなることもあります。

言葉が出なくなることもあります。

それでも相談して構いません。


17|家族本人が相談したがらない場合

周囲から見ると非常につらそうなのに、本人が、

「大丈夫」

「相談する必要はない」

と言うことがあります。

本人の意思を無視して無理にカウンセリングへ連れて行くことが、必ずしもよいとは限りません。

一方で、

家族自身が、

「どう接したらよいか分からない」

と専門機関へ相談することはできます。

厚生労働省も、悩みを抱えている本人だけではなく、支える側がよりよい支援方法について相談することができると案内しています。

支える家族も、一人で抱え込む必要はありません。


18|今すぐ誰かと話したいとき

夜間や休日など、

「今、一人でいるのがつらい」

というときには、24時間対応している相談窓口があります。

厚生労働省が案内している全国窓口では、2026年9月確認時点で、

#いのちSOS
0120-061-338
24時間・365日

よりそいホットライン
0120-279-338
24時間対応

となっています。よりそいホットラインは、050から始まるIP電話について別番号も案内されています。

「死にたいほどではないから利用してはいけない」

と考える必要はありません。

一人で抱えることが難しいほどつらいときには、相談して構いません。


19|「死にたい」「自分を傷つけたい」と思ったとき

大切な人を亡くしたあと、

「自分も死んでしまいたい」

「故人のところへ行きたい」

という思いが浮かぶことがあります。

その気持ちを一人だけで抱えないことが重要です。

誰かに伝えてください。

家族。

友人。

相談窓口。

医療機関。

どこでも構いません。

厚生労働省は、24時間365日の「#いのちSOS」や24時間対応の「よりそいホットライン」などを全国の相談先として案内しています。

もし、

今すぐ自分を傷つけそう。

具体的な方法を考えている。

一人では安全を保てない。

という状態であれば、相談窓口からの返信を待つのではなく、119番へ連絡する、救急医療を利用する、近くの人に助けを求めるなど、まず安全を確保してください。


20|相談することは「悲しみを病気にすること」ではない

グリーフは、大切な人を失ったことによって起こる反応です。

悲しいからといって、

必ず病気であるということではありません。

そして、

相談したからといって、

自分の悲しみを「治療対象」にするという意味でもありません。

誰かに話す。

同じ経験をした人と会う。

専門家と整理する。

医師へ相談する。

方法は人によって違います。

自分一人だけでは持ちきれなくなったものを、一時的に誰かと一緒に持ってもらう。

グリーフケアの相談を、そのように考えてもよいでしょう。


よくある質問

Q. 亡くなってすぐ相談してもよいですか?

構いません。

死別から何日後、何か月後でなければ相談できないという決まりはありません。

反対に、何年も経ってから相談したくなることもあります。


Q. まだそれほどつらくないのですが、相談できますか?

相談できます。

「もっとつらくなってから」と待つ必要はありません。

自分の状態について整理したいという理由でも構いません。


Q. 家族には話せません

家族だからこそ話しにくいこともあります。

その場合には、電話相談、カウンセリング、遺族会など、家族以外の相談先を利用できます。


Q. カウンセリングと病院はどう違いますか?

心理相談では、主に気持ちや考えを整理するための対話を行います。

医療機関では、医師が心身の状態を診察し、必要に応じて医学的な治療を行います。

どちらへ行くべきか分からない場合には、精神保健福祉センターやかかりつけ医へ相談する方法があります。


Q. 遺族会へ参加するのが怖いです

無理に参加する必要はありません。

まず個別相談を利用する方法もあります。

自分に合う支援方法を選んで構いません。


まとめ|相談先は一つでなくていい

大切な人を亡くしたあと、

必要になる支援は人によって違います。

誰かに話を聞いてほしい人。

同じ経験をした人と話したい人。

一人で静かに整理したい人。

医療的な支援が必要な人。

生活上の問題を解決する必要がある人。

それぞれに適した相談先があります。

そして、最初から自分にぴったりの場所を見つける必要はありません。

一度相談してみる。

合わなければ変える。

必要になったらまた相談する。

それで構いません。

■ このページの結論

グリーフケアの相談先は、「悲しみが限界になった人だけが利用する場所」ではありません。

「少し話してみたい」

「自分の状態を知りたい」

「どこへ相談したらよいか分からない」

その段階から利用してよいのです。

大切な人を亡くした後の悲しみを、すべて一人で抱える必要はありません。

家族。

友人。

医療。

心理職。

自治体。

遺族会。

電話相談。

SNS相談。

必要なときに、必要な支えを使う。

誰かに頼ることも、これからの生活を続けていくためのグリーフケアの一つです。

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