携帯電話を解約する前の注意点
家族が亡くなった後、スマホをすぐ解約してはいけない理由
家族が亡くなった後、携帯電話料金を止めるために、
「できるだけ早く解約した方がよい」
と考える人は少なくありません。
しかし、故人の携帯電話やスマートフォンには、
- 銀行口座
- クレジットカード
- 証券口座
- SNS
- メール
- 写真
- 連絡先
- サブスクリプション
- 各種サービスの本人確認
など、死後事務に必要な情報が多く残っています。
そのため、内容を確認する前に回線を解約すると、かえって手続きが難しくなる場合があります。
この記事では、故人の携帯電話を解約する前に何を確認すればよいのか、順番に分かりやすく説明します。
最初に結論
故人の携帯電話は、次の順番で確認してから解約すると安全です。
- 端末を保管する
- 回線契約と端末代金を確認する
- 電話番号を残す必要がないか確認する
- SMS認証に使われているサービスを確認する
- メールを確認する
- 銀行・証券・クレジットカードを確認する
- サブスクリプションを確認する
- SNSやオンラインサービスを確認する
- 写真・動画・連絡先を保存する
- クラウドサービスを確認する
- 必要な情報を記録する
- 携帯電話会社へ死亡による解約・承継を相談する
特に重要なのは、
「回線の解約」と「スマートフォン本体のデータ削除」は別の作業
という点です。
なぜ、すぐ解約しない方がよいのか
携帯電話番号は、単に電話をするためだけに使われているわけではありません。
現在では、多くのサービスで、
SMS認証
に利用されています。
例えば、
- 銀行
- 証券会社
- クレジットカード
- Amazonなどの通販
- Apple
- LINE
- SNS
- 電子マネー
などです。
回線を解約すると、SMSを受け取れなくなります。
その結果、故人がどのサービスを契約していたか確認できても、ログインや本人確認ができなくなる可能性があります。
第1段階 スマートフォンを処分しない
故人のスマートフォンは、重要な「デジタル遺品」です。
すぐに、
- 初期化する
- 売却する
- 廃棄する
- SIMカードを捨てる
といったことは避けてください。
最初に保管するもの
- スマートフォン本体
- SIMカード
- 充電器
- パソコン
- タブレット
- メモ帳
- パスワードを書いた紙
- 契約書
- 携帯会社からの請求書
第2段階 充電できる状態を保つ
スマートフォンの電源が切れたまま長期間放置すると、確認作業が難しくなります。
行うこと
- 充電器を探す
- 電源が入るか確認する
- 画面ロックの有無を確認する
- SIMカードを抜かない
- Wi-Fi環境を確認する
ただし、無理にパスコードを解除したり、初期化したりしないようにします。
第3段階 画面ロックを確認する
スマートフォンには、
- 暗証番号
- パスコード
- 指紋認証
- 顔認証
などが設定されています。
故人がパスコードを残している場合は、メモやエンディングノートなどを確認します。
探す場所
- 手帳
- 財布
- パソコン周辺
- パスワード管理ノート
- エンディングノート
- 金庫
- 書類箱
パスコードが分からない場合
無理に何度も入力すると、端末が一定時間使用できなくなったり、設定によってはデータ消去につながる可能性があります。
パスコードが分からない場合は、
- 携帯電話会社
- Apple
- デジタル遺品に詳しい専門家
などへ相談してください。
第4段階 電話番号を残す必要があるか確認する
電話番号は、死後事務の途中で必要になる場合があります。
電話番号が使われている主な場面
- SMS認証
- 銀行の本人確認
- クレジットカード
- 証券会社
- ネット通販
- SNS
- LINE
- 各種アプリ
- サブスク
そのため、重要なサービスの確認が終わる前に回線を止めると、ログインできなくなる可能性があります。
第5段階 SMSを確認する
SMSには、故人が利用していたサービスの手掛かりが残っていることがあります。
確認する内容
- 銀行
- 証券会社
- カード会社
- 携帯会社
- 通販サイト
- 配送業者
- SNS
- 電子マネー
認証コードが頻繁に届いているサービスがあれば、そのサービスを利用していた可能性があります。
第6段階 メールを確認する
メールは、契約サービスを確認する重要な資料です。
検索するとよい言葉
- ご契約
- ご請求
- 利用料金
- 更新
- 定期購入
- subscription
- お支払い
- クレジットカード
- 証券
- 銀行
- 保険
確認するメール
- 銀行
- 証券会社
- 保険会社
- クレジットカード会社
- 通販サイト
- サブスク
- 携帯電話会社
第7段階 銀行・証券口座を確認する
スマートフォンに金融アプリが入っている場合があります。
確認する主なアプリ
- 銀行アプリ
- 証券アプリ
- FX
- 暗号資産
- 電子マネー
- QRコード決済
注意
アプリを見つけても、故人の預金や投資商品を勝手に移動・売却してはいけません。
相続財産にあたる可能性があります。
特に相続放棄を検討している場合は、操作する前に弁護士などへ相談してください。
第8段階 クレジットカードを確認する
クレジットカードアプリがある場合は、
- 利用履歴
- 定期払い
- サブスク
- 公共料金
などが分かることがあります。
確認すること
- カード会社
- カード番号下4桁
- 未払い料金
- 定期購入
- 公共料金
- 年会費
カード契約の停止は、カード会社へ別途連絡します。
携帯電話を解約しただけでは、クレジットカード契約は解約されません。
第9段階 サブスクリプションを確認する
故人が毎月料金を支払っていたサービスが残っている場合があります。
主なサブスク
- 動画配信
- 音楽配信
- 電子書籍
- オンラインゲーム
- クラウドストレージ
- ニュース
- 学習サービス
- ソフトウェア
- マッチングサービス
- 定期通販
確認方法
- メール
- App Store
- Google Play
- クレジットカード明細
- 通帳
- キャリア決済
キャリア決済を確認する
携帯電話料金と一緒に支払っているサービスがあります。
例えば、
- アプリ
- ゲーム
- 動画サービス
- 音楽
- 電子書籍
などです。
回線を解約するとキャリア決済も終了する場合がありますが、外部サービス側の契約が残ることもあります。
個別に確認してください。
第10段階 Apple ID・Googleアカウントを確認する
スマートフォンのデータは、端末本体だけでなくクラウドに保存されていることがあります。
iPhoneの場合
Apple Account(旧Apple ID)に、
- 写真
- 連絡先
- メモ
- iCloudメール
- ファイル
などが保存されている可能性があります。
Androidの場合
Googleアカウントに、
- Gmail
- Googleフォト
- 連絡先
- Googleドライブ
- カレンダー
などが保存されている場合があります。
デジタル遺産機能を確認する
AppleやGoogleなどには、本人が生前に指定した人が死亡後に一定のデータへアクセスできる仕組みがあります。
故人が設定していないか確認してください。
設定がない場合は、事業者所定の手続きが必要になることがあります。
第11段階 LINEを確認する
LINEには、
- 親族
- 友人
- 仕事関係者
- 趣味仲間
など、家族が把握していない人との連絡先が残っている場合があります。
注意
故人のアカウントを勝手に使って大量のメッセージを送ることは避けた方がよいでしょう。
必要な場合は、
「○○の家族です。本人が亡くなりました」
など、故人本人ではないことを明確にします。
第12段階 SNSを確認する
主なSNS
- X
- TikTok
故人が利用していた場合、
- アカウント削除
- 追悼アカウント
- 保存
などの選択肢があります。
サービスによって死亡後の扱いが異なるため、各社の手続きを確認します。
第13段階 写真と動画を保存する
スマートフォンには、家族にとって重要な写真や動画が残っていることがあります。
保存候補
- 家族写真
- 孫の写真
- 旅行写真
- 故人本人の写真
- 動画
- 音声
- メモ
保存先として、
- パソコン
- 外付けSSD
- USB
- クラウド
などを利用できます。
大切な写真は、1か所だけではなく複数の場所へ保存すると安心です。
第14段階 連絡先を保存する
スマートフォンの電話帳には、
- 親族
- 友人
- 勤務先
- 病院
- 介護事業者
- 保険会社
- 不動産会社
- 税理士
- 弁護士
などの連絡先が残っている可能性があります。
死後事務に必要な人だけでも記録しておきます。
第15段階 メモアプリを確認する
メモアプリには意外に重要な情報が残っていることがあります。
例えば、
- パスワード
- 銀行口座
- 保険
- 借金
- 葬儀希望
- 親族への伝言
- 契約サービス
- 資産一覧
などです。
第16段階 スマートフォン内の契約アプリを一覧にする
ホーム画面を見ると、契約サービスの手掛かりになります。
確認するアプリ
- 銀行
- 証券
- 保険
- クレジットカード
- 通販
- 宅配
- 交通
- ホテル
- 航空会社
- 動画
- 音楽
- ゲーム
- QR決済
スクリーンショットやメモで一覧にしておくと整理しやすくなります。
第17段階 端末代金の残りを確認する
スマートフォン本体を分割購入している場合、死亡時点で残債がある可能性があります。
ソフトバンクは、契約者死亡による解約の場合でも端末の割賦残債は継続して支払う必要があると案内しています。
携帯会社によって扱いが異なるため、
- 端末残債
- 支払回数
- 一括精算の可否
- 保険
を確認します。
第18段階 携帯電話会社へ「死亡による手続き」を確認する
携帯電話会社には、通常の解約とは別に、
契約者死亡に伴う解約・承継手続き
があります。
例えばNTTドコモでは、死亡した契約者の回線について、家族が契約を引き継ぐ「承継」と、契約を終了する「解約」の両方を案内しています。
解約と承継の違い
解約
電話番号と契約を終了します。
承継
家族などが契約を引き継ぎます。
例えば、
「故人の電話番号をしばらく残したい」
場合は、承継できないか携帯会社へ相談します。
第19段階 解約時に必要な書類を確認する
必要書類は携帯会社によって異なります。
一般的には、
- 死亡が確認できる書類
- 手続きする人の本人確認書類
- 故人との関係を確認できる書類
- SIMカード
などを求められることがあります。
例えばドコモでは、死亡確認書類と手続きする人の本人確認書類などを案内しています。死亡による携帯電話解約の手数料は無料としています。
ソフトバンクでも、法定相続人が手続きする場合、本人確認書類、死亡を確認できる書類、USIMカードなどを案内しています。
第20段階 ポイントを確認する
携帯電話会社によっては、契約者がポイントを保有しています。
例
- dポイント
- Pontaポイント
- PayPayポイント
解約によって失効するものがあります。
例えばドコモでは、死亡による解約をすると、貯めていたdポイント/ドコモポイントが失効すると案内しています。
ポイントの相続や承継が可能かは、各サービスの規約によって異なります。
第21段階 家族割・セット割を確認する
故人の回線が、
- 家族割
- 光回線とのセット割
- 電気とのセット
- 複数回線契約
の中心になっている場合があります。
故人の回線を解約すると、残った家族の料金が変わる可能性があります。
確認すること
- 家族割が続くか
- 主回線が変更されるか
- 光回線料金が変わるか
- 電気料金が変わるか
- ポイント還元が変わるか
第22段階 携帯電話番号を使っているサービスを変更する
解約前に、故人の電話番号が登録されている重要サービスを確認します。
必要であれば、相続手続きの中で、
- 登録電話番号変更
- 相続人の連絡先へ変更
- アカウント解約
などを行います。
解約前チェックリスト
本体
□ スマートフォンを保管した
□ SIMカードを保管した
□ 充電器を確保した
□ パスコードを確認した
□ 初期化していない
データ
□ 写真を保存した
□ 動画を保存した
□ 連絡先を保存した
□ メモを確認した
□ メールを確認した
金融
□ 銀行アプリを確認した
□ 証券アプリを確認した
□ クレジットカードを確認した
□ 電子マネーを確認した
契約
□ サブスクを確認した
□ キャリア決済を確認した
□ 通販を確認した
□ SNSを確認した
□ Apple・Googleアカウントを確認した
携帯会社
□ 端末残債を確認した
□ ポイントを確認した
□ 家族割を確認した
□ セット割を確認した
□ 解約か承継か決めた
解約してよいタイミングの目安
次の確認が終われば、解約を検討できます。
- SMS認証が不要になった
- 金融機関を確認した
- クレジットカードを確認した
- サブスクを確認した
- 写真と動画を保存した
- 連絡先を保存した
- SNSを整理した
- Apple・Googleアカウントを確認した
- 携帯会社の残債を確認した
- 家族割・セット割を確認した
携帯会社へ伝える文例
「契約者の○○○○が○月○日に亡くなりました。死亡に伴う携帯電話契約の整理を行っています。解約と承継の方法、必要書類、端末代金の残額、ポイント、家族割、関連サービスについて確認したいです。」
すぐに解約したい場合の文例
「契約者の○○○○が死亡したため、回線の解約を希望します。死亡による解約に必要な書類と、端末残債、最終料金、SIMカードの返却について教えてください。」
電話番号を残したい場合の文例
「故人の電話番号が各種サービスの本人確認に使われているため、回線を家族が承継できるか確認したいです。承継条件と必要書類を教えてください。」
相続放棄を検討している場合
故人に借金があり、相続放棄を検討している場合は注意が必要です。
スマートフォン内の情報を確認することと、
- 故人の財産を売却する
- 故人の預金を動かす
- 有料資産を自分のものにする
ことは別です。
注意するもの
- 暗号資産
- 電子マネー残高
- 有価証券
- ポイント
- 有料アカウント
財産性があるものを移動・換金する前に、弁護士などへ相談すると安全です。
孤独死の場合
一人暮らしの家族が孤独死した場合、スマートフォンが重要な情報源になります。
確認できる可能性があること
- 最後に連絡した相手
- 通院先
- 介護サービス
- 見守りサービス
- 家賃
- 銀行
- 保険
- 借金
- 親しい友人
ただし、警察が確認中の場合は、スマートフォンを証拠品として一時的に預かることがあります。
返却されるまで勝手に操作できない場合があります。
携帯電話解約でよくある失敗
1.すぐ解約してSMSが使えなくなる
銀行やネットサービスにログインできなくなります。
2.スマホを初期化する
写真や重要な契約情報が消えます。
3.SIMカードを捨てる
解約手続きや番号確認で困る場合があります。
4.サブスクを確認しない
別のクレジットカードから課金が続くことがあります。
5.端末残債を確認しない
回線を解約しても端末代金が残る場合があります。
6.家族割を確認しない
残った家族の料金が上がることがあります。
7.ポイントを確認しない
解約によって失効する可能性があります。
よくある質問
死亡したら携帯電話はすぐ解約するべきですか
いいえ。
SMS認証、金融機関、写真、連絡先、サブスクなどを確認してからの方が安全です。
回線を解約するとスマホの写真も消えますか
通常、回線を解約しただけで端末内の写真が自動的に消えるわけではありません。
ただし、クラウドサービスやアカウント契約との関係があるため、事前に保存しておくことをおすすめします。
電話番号を家族が引き継げますか
携帯会社や契約内容によって、死亡による「承継」が可能な場合があります。
ドコモは、死亡した契約者の携帯電話契約を家族が引き継ぐ手続きを用意しています。
各携帯会社へ確認してください。
スマホのパスコードが分かりません
無理に解除を試みず、端末メーカーや専門家へ相談します。
何度も入力するとロックが長時間かかることがあります。
携帯会社へ死亡届を出せば、SNSも全部消えますか
いいえ。
携帯電話会社の契約と、SNS、通販、銀行、サブスクなどは別契約です。
それぞれ個別に対応する必要があります。
回線を解約してもWi-Fiでスマホを使えますか
多くのスマートフォンは、回線契約終了後でもWi-Fi接続で端末内データを確認できます。
ただし、SMS認証や電話番号認証は利用できなくなる可能性があります。
端末代金が残っていたらどうなりますか
契約内容によって異なりますが、分割払いの残額が残る場合があります。
ソフトバンクでは、死亡に伴う解約でも端末の割賦残債は継続して支払う必要があると案内しています。
各社へ確認してください。
まとめ
家族が亡くなった後の携帯電話は、単なる通信契約ではありません。
スマートフォンには、
お金
契約
連絡先
写真
思い出
デジタル資産
が集まっています。
そのため、
スマホを保管
↓
SMS・メール確認
↓
金融・契約確認
↓
写真・連絡先保存
↓
クラウド・SNS整理
↓
携帯会社へ死亡手続き
↓
解約または承継
という順番で進めると分かりやすくなります。
特に、SMS認証を使うサービスの確認が終わるまでは、回線解約を急がないことが重要です。
一方、回線を長期間残せば利用料金が発生します。
必要な確認作業が終了したら、携帯会社へ死亡による解約または承継を申し込みます。
ドコモやソフトバンクなどでは、契約者死亡時の専用手続きを用意しており、必要書類や端末残債などの扱いも案内されています。
注意事項
本記事は、日本国内の一般的な携帯電話・スマートフォンの死後事務を整理したものです。
実際の手続きは、
- 携帯電話会社
- 契約プラン
- 端末の購入方法
- 家族割
- ポイント
- Apple・Googleなどのアカウント
- 故人の相続状況
によって異なります。
解約前に必ず携帯電話会社へ確認し、相続放棄を検討している場合やデジタル資産がある場合は、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談してください。
