特殊清掃とは?料金相場と信頼できる業者の選び方

孤独死が起きた部屋を依頼するときの手順と注意点

賃貸住宅や自宅で孤独死が発生し、発見までに時間が経過すると、一般的なハウスクリーニングでは対応できないことがあります。

体液や血液が床へ染み込み、室内に強い臭いが残っている場合には、消毒、汚染物の除去、害虫駆除、消臭などを行う「特殊清掃」が必要です。

しかし、特殊清掃には全国共通の定価がありません。

部屋の広さだけではなく、亡くなってから発見されるまでの日数、季節、室温、汚染範囲、家財の量、床下への浸透などによって、料金が大きく変わります。

また、特殊清掃、遺品整理、廃棄物処理、原状回復工事は、それぞれ別の作業です。

業者から「全部まとめて○万円」と説明された場合でも、必ず項目ごとの内容と料金を確認してください。


特殊清掃とは

特殊清掃とは、孤独死、自殺、事件、事故などにより、血液、体液、腐敗臭、害虫などが発生した室内を、安全に立ち入れる状態へ戻すための専門的な清掃です。

一般的な清掃との大きな違いは、表面の汚れを落とすだけではなく、汚染源そのものを取り除く必要があることです。

主な作業内容

  • 血液や体液の除去
  • 汚染箇所の消毒
  • 腐敗臭の原因除去
  • ウジ、ハエ、ゴキブリなどの害虫駆除
  • 汚染された布団や家具の梱包
  • 床材や壁材の撤去
  • 畳の撤去
  • 消臭剤による処理
  • オゾンなどを使用した脱臭
  • 室内の除菌
  • 汚染物の適正処理
  • 作業後の臭気確認

臭いを香料で一時的に隠すだけでは、特殊清掃が完了したとはいえません。

床、壁、畳、家具などに残った汚染源を特定し、必要な範囲を除去した上で消臭することが重要です。


特殊清掃が必要になる主なケース

発見まで数日以上経過している

死亡後の室温、湿度、季節などによっては、短期間でも臭いや体液による汚染が発生します。

特に夏場や暖房の使用中は、室内環境によって腐敗が進みやすくなることがあります。

床や布団に体液が付着している

表面を拭き取っただけでは、床材の下や畳の内部に汚染が残ることがあります。

玄関や共用廊下まで臭いが出ている

室内だけではなく、玄関、換気口、共用廊下などへ臭いが広がっている場合は、早めの対応が必要です。

害虫が発生している

ハエやウジなどが発生している場合は、清掃と同時に害虫駆除が必要になることがあります。

管理会社から専門業者を求められた

賃貸住宅では、管理会社や大家が、一般清掃ではなく特殊清掃業者による施工記録や作業報告書を求める場合があります。


最初に行うこと

孤独死の連絡を受けても、すぐに自分で部屋へ入ってはいけません。

1.警察の確認が終了しているか確認する

警察による現場確認中は、親族や清掃業者が室内へ入れないことがあります。

管理会社から鍵を渡されても、警察の立入り許可が出ているかを確認します。

2.管理会社や大家へ連絡する

賃貸住宅の場合は、業者へ依頼する前に管理会社へ連絡します。

確認する内容は次のとおりです。

  • 清掃業者の指定があるか
  • 管理会社がすでに業者を手配していないか
  • 火災保険や孤独死保険が使えるか
  • 家賃保証会社の補償対象か
  • 室内へ入れる日時
  • 鍵の受渡方法
  • 作業可能な時間帯
  • エレベーターや搬出経路の制限
  • 作業前後の写真が必要か
  • 原状回復工事との分担

3.相続放棄を検討している場合は先に相談する

故人に借金があり、相続放棄を検討している場合は、遺品や家財を勝手に処分する前に、弁護士などへ相談してください。

特殊清掃のうち、緊急的な消毒や汚染拡大防止と、家財の売却・廃棄は分けて考える必要があります。


特殊清掃と遺品整理の違い

特殊清掃と遺品整理は同じではありません。

特殊清掃

主に次の作業を行います。

  • 体液や血液の除去
  • 消毒
  • 害虫駆除
  • 消臭
  • 汚染部分の撤去
  • 衛生状態の回復

遺品整理

主に次の作業を行います。

  • 貴重品や重要書類の探索
  • 家具、衣類、日用品の仕分け
  • 形見の選別
  • 買取品の査定
  • 不用品の搬出
  • 部屋の片付け

原状回復工事

主に次の工事を行います。

  • 壁紙の張替え
  • 床材の張替え
  • 畳の交換
  • 下地材の交換
  • 建具の交換
  • 塗装
  • 内装工事

業者によっては、特殊清掃、遺品整理、原状回復を一括して請け負います。

ただし、一括契約にする場合でも、見積書では作業を分けてもらうことが重要です。


特殊清掃の料金相場

特殊清掃には公的な統一料金がなく、業者や現場状況によって金額が異なります。

民間事業者が公表している料金例では、1R・1Kの特殊清掃はおおむね10万円から30万円程度を目安とする例があります。ただし、汚染が軽い場合の最低料金から、床材や下地材の撤去を含む高額な施工まで幅があるため、間取りだけで判断することはできません。

間取り別の大まかな目安

間取り特殊清掃の参考価格
1R・1K約10万円~30万円以上
1DK・1LDK約15万円~40万円以上
2DK・2LDK約20万円~60万円以上
3DK・3LDK約30万円~80万円以上
一戸建て約40万円~100万円以上

この表は、あくまで検討を始めるための参考です。

次の作業が加わると、100万円を超える場合があります。

  • 大量の家財撤去
  • ゴミ屋敷状態
  • 床下までの汚染
  • 複数部屋への臭いの拡散
  • 壁や天井の解体
  • 長期間にわたる脱臭
  • 室内全体の原状回復工事
  • 階段搬出や特殊な搬出作業

発見までの日数による目安

民間の料金例では、1R・1Kで汚染が比較的軽い場合は10万円前後から、発見まで1~2週間程度経過し床材の撤去が必要な場合は15万円から30万円程度、長期間経過して壁や床の広い範囲に施工が必要な場合は30万円から60万円以上とする例があります。

ただし、死後の日数だけで料金が決まるわけではありません。

同じ日数でも、夏と冬、エアコンの使用、窓の開閉、寝具の有無、亡くなった場所などによって状態が変わります。


作業項目別の料金目安

次の金額は、民間業者の料金表示などを参考にした一般的な幅です。

実際の契約では、現地調査後の見積書を確認してください。

作業内容参考価格
汚染物の除去約3万円~15万円以上
消毒・除菌約1万円~5万円以上
害虫駆除約1万円~5万円以上
消臭作業約3万円~15万円以上
オゾン脱臭約3万円~10万円以上
畳の撤去1枚あたり数千円~
床材の撤去約3万円~20万円以上
壁紙の撤去約2万円~10万円以上
汚染家具の搬出約1万円~
作業員追加1人あたり約1万円~3万円
深夜・緊急対応基本料金への追加
作業報告書作成無料または別料金

注意点

「消臭3万円」と表示されていても、臭いがなくなるまでの全工程を含むとは限りません。

次の点を確認してください。

  • 消臭剤だけの料金か
  • オゾン脱臭を含むか
  • 複数回の施工を含むか
  • 臭いが戻った場合の再施工を含むか
  • 床や壁の撤去費は別か
  • 機材の設置期間による追加料金があるか

特殊清掃費が高くなる主な原因

1.発見までの時間が長い

時間が経過すると、床材の表面だけでなく、床下、壁、建具などへ汚染や臭いが広がる可能性があります。

2.気温と湿度が高い

夏場や暖房が効いた室内では、臭いや害虫の問題が大きくなることがあります。

3.亡くなった場所が布団やベッドではない

床の上で亡くなった場合、体液が床材や下地へ直接浸透することがあります。

4.畳や木材へ浸透している

畳、合板、木材、石こうボードなどは臭いを吸収しやすく、洗浄だけでは対応できない場合があります。

5.家財が多い

家具や衣類が多いと、仕分け、梱包、搬出、処分の費用が増えます。

6.ゴミ屋敷状態になっている

大量の生活ゴミがある場合、特殊清掃とは別にゴミの分別・搬出費がかかります。

7.エレベーターがない

高層階から階段で搬出する場合は、人員や作業時間が増えます。

8.駐車場所が遠い

建物の近くに車両を止められない場合は、搬出費が加算されることがあります。

9.床下や壁の内部まで汚染している

床材を剥がした後で、下地材やコンクリートまで処理が必要と判明する場合があります。

10.原状回復工事まで含めている

清掃後に壁紙や床を張り替える場合は、内装工事費が加わります。


見積りは原則として現地調査後に取る

電話や写真だけでは、正確な料金を出せない場合があります。

「電話だけで総額5万円」「写真を見なくても定額」などの説明は、作業当日に追加料金が発生しないか慎重に確認してください。

国民生活センターは、遺品整理サービスに関して、契約時の説明と実際の料金が異なる、作業当日に追加料金を請求される、高額なキャンセル料を請求されるといったトラブルに注意を呼びかけています。

現地見積りで確認すること

  • 見積りは無料か
  • 出張費がかかるか
  • キャンセル料があるか
  • 見積り後に追加料金が出る条件
  • 作業範囲
  • 作業人数
  • 作業日数
  • 使用する薬剤や機材
  • 消臭施工の回数
  • 家財撤去を含むか
  • 廃棄物処理費を含むか
  • 原状回復工事を含むか
  • 作業後の保証があるか
  • 料金に消費税を含むか

2社から3社へ相見積りを依頼する

緊急性が高い場合でも、可能であれば2社から3社へ見積りを依頼します。

ただし、金額だけを比較してはいけません。

比較する項目

比較項目業者A業者B業者C
総額
汚染物除去
消毒
害虫駆除
消臭
床・壁の撤去
遺品整理
廃棄物処理
原状回復工事
追加料金条件
再施工保証
作業報告書

最安値だけで決めない

極端に安い業者は、次の作業が含まれていない場合があります。

  • 床下の処理
  • 害虫駆除
  • 本格的な消臭
  • 汚染物の搬出
  • 廃棄物処理
  • 作業後の再確認
  • 原状回復工事

最初の見積りが安くても、作業開始後に追加料金が積み重なることがあります。


信頼できる特殊清掃業者の選び方

1.現地を確認して見積書を出す

現地の汚染状態を確認し、必要な作業と不要な作業を説明する業者を選びます。

2.見積書の項目が具体的

信頼性の高い見積書は、次のように分かれています。

  • 汚染物除去
  • 消毒
  • 害虫駆除
  • 消臭
  • オゾン脱臭
  • 床材撤去
  • 家財梱包
  • 家財搬出
  • 廃棄物処理
  • 人件費
  • 車両費
  • 養生費
  • 原状回復工事

「特殊清掃一式」「諸経費一式」だけの見積書では、何にいくらかかるのか分かりません。

3.追加料金の条件を書面で示す

次のような内容を契約前に確認します。

  • 床を剥がした後に汚染が見つかった場合
  • 作業日数が延びた場合
  • 消臭回数が増えた場合
  • 家財量が見積りより多かった場合
  • 廃棄物の種類が変わった場合
  • 深夜作業になった場合

4.作業前後の写真を残す

管理会社、保険会社、相続人へ説明するためにも、作業前後の写真や報告書を出す業者が安心です。

5.臭いの原因を説明できる

単に「オゾンを使えば消えます」と説明するのではなく、

  • 臭いの発生源
  • 汚染範囲
  • 撤去が必要な部分
  • 薬剤の使い方
  • 脱臭に必要な回数
  • 再発する可能性

を説明できる業者を選びます。

6.近隣への配慮がある

集合住宅では、作業員の服装、車両表示、搬出方法、作業時間などによって、近隣に事情を知られる可能性があります。

次の対応を確認します。

  • 社名の目立たない車両を使えるか
  • 汚染物を外から見えないよう梱包するか
  • 共用部分を養生するか
  • 臭いが漏れないよう搬出するか
  • 近隣から質問された場合の対応
  • 管理会社と連携できるか

7.会社情報が確認できる

最低限、次の情報を確認します。

  • 正式な会社名
  • 所在地
  • 固定電話または連絡先
  • 代表者名
  • 法人番号
  • 見積担当者名
  • 契約担当者名
  • 損害賠償保険の有無
  • 作業実績
  • 支払方法
  • キャンセル規定

所在地が曖昧、会社名を名乗らない、担当者の携帯電話だけで契約を急がせる業者には注意が必要です。


資格や認定はどこまで信用できるか

特殊清掃や遺品整理には、民間団体が発行する資格や認定があります。

例として、特殊清掃に関する民間資格や、遺品整理に関する認定資格などがあります。

ただし、民間資格を持っているだけで、料金、技術、法令順守がすべて保証されるわけではありません。

資格の有無は判断材料の一つとし、次の内容を合わせて確認してください。

  • 現場経験
  • 見積書の具体性
  • 作業方法の説明
  • 廃棄物の処理方法
  • 損害保険
  • 再施工への対応
  • 会社の実在性
  • 契約書の内容

廃棄物を適正に処理する業者か確認する

家庭から出る家具、衣類、布団、生活ゴミなどは、原則として家庭系の一般廃棄物です。

家庭から出た廃棄物を有料で収集・運搬するには、その地域の市区町村による一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

産業廃棄物収集運搬業の許可や古物商許可だけでは、家庭から出た廃棄物を自由に収集・運搬できるわけではありません。自治体も、遺品整理業者へ依頼する際には、一般廃棄物収集運搬業の許可の有無を確認するよう案内しています。

業者へ確認する質問

「部屋から出る家具、布団、生活ゴミなどは、どの一般廃棄物収集運搬許可業者が回収しますか。許可業者名と処理方法を見積書に記載してください。」

業者自身に許可がない場合

特殊清掃業者自身が一般廃棄物収集運搬業の許可を持っていなくても、許可業者と適切に連携していれば対応できる場合があります。

確認すべきなのは、

  • 誰が廃棄物を運ぶのか
  • どの許可業者が担当するのか
  • 処分費が見積りに含まれているか
  • 不法投棄の心配がないか

という点です。


古物商許可の意味

家具、家電、貴金属、骨董品などを業者が買い取る場合は、古物商許可が関係します。

ただし、古物商許可は「買取」に関する許可です。

古物商許可を持っているだけで、家庭ゴミを処分目的で運搬できるわけではありません。

買取を依頼するときの確認事項

  • 買取品ごとの査定額
  • 処分費との相殺内容
  • 査定担当者
  • 古物商許可番号
  • 買取明細書
  • 貴金属やブランド品の査定根拠
  • 買取を断る権利があるか

「買取額を処分費から引いておきます」とだけ説明される場合は、品目別の買取明細を求めます。


損害賠償保険を確認する

作業中に、建物、配管、共用部分、残しておく遺品などを破損する可能性があります。

業者が請負業者賠償責任保険などへ加入しているか確認します。

確認すること

  • 保険会社名
  • 補償対象
  • 補償限度額
  • 作業中の建物損傷
  • 共用部分の損傷
  • 遺品の紛失や破損
  • 水漏れや薬剤による損傷
  • 下請業者の事故が対象か

消臭保証の内容を確認する

「完全消臭保証」と表示していても、保証条件は業者ごとに異なります。

確認する内容

  • どの程度を消臭完了とするか
  • 誰が臭いを判定するか
  • 再施工は無料か
  • 再施工できる期間
  • 床や壁を撤去しない場合も保証されるか
  • 原状回復工事後まで保証されるか
  • 家財が残っている場合も保証されるか
  • 臭い戻りが対象か
  • 保証対象外になる条件

口頭の説明だけではなく、保証内容を書面へ記載してもらいます。


見積書で確認すべき項目

基本情報

□ 会社名
□ 所在地
□ 担当者名
□ 見積日
□ 作業場所
□ 有効期限
□ 消費税込みの総額

作業内容

□ 汚染物除去
□ 消毒
□ 害虫駆除
□ 消臭
□ オゾン脱臭
□ 床材撤去
□ 壁紙撤去
□ 畳撤去
□ 家財仕分け
□ 家財搬出
□ 廃棄物処理
□ 養生
□ 作業後清掃
□ 作業報告書

費用

□ 人件費
□ 車両費
□ 機材費
□ 薬剤費
□ 処分費
□ 駐車料金
□ 階段作業費
□ 深夜・早朝料金
□ 出張費
□ 諸経費

契約条件

□ 追加料金の条件
□ キャンセル料金
□ 支払時期
□ 支払方法
□ 再施工保証
□ 損害時の補償
□ 作業開始日
□ 作業完了予定日


注意したい見積書

次のような見積書は、内容を詳しく確認してください。

  • 特殊清掃一式 50万円
  • 原状回復一式 80万円
  • 廃棄物処理一式 30万円
  • 諸経費 20万円
  • 追加作業は実費
  • 消臭完了まで別途費用
  • 作業後に最終金額を決定

「一式」という表示がすべて悪いわけではありませんが、金額が大きい場合は、数量、単価、作業範囲を追加してもらいます。


避けた方がよい業者の特徴

電話だけで契約を迫る

現場を確認せず、

「今すぐ決めなければ臭いが取れなくなる」

「今日契約すれば半額」

などと急がせる業者には注意してください。

契約書を出さない

口頭やメッセージだけで作業を始めようとする業者は避けます。

料金の内訳を説明しない

「特殊な現場なので説明できない」と言い、総額しか示さない業者には注意が必要です。

作業当日に追加料金を求める

事前に説明されていない追加料金を求められた場合は、理由と作業内容を書面で示すよう求めます。

廃棄物の処分先を答えない

「こちらで全部処分します」とだけ説明し、許可業者や処分方法を答えない業者には注意してください。

貴重品を業者だけで仕分ける

現金、通帳、印鑑、貴金属などの扱いについて、記録方法がない業者は避けます。

高額な前払いを求める

全額を現金で前払いするよう求められた場合は、契約書、会社情報、返金条件を確認します。

口コミだけを強調する

インターネット上の口コミは参考になりますが、口コミだけで判断してはいけません。

見積書、許可関係、会社情報、説明内容を優先します。


作業開始前に決めること

残す物と処分する物

業者へ鍵を渡す前に、次の物を確認します。

  • 現金
  • 預金通帳
  • 印鑑
  • 身分証明書
  • 戸籍関係書類
  • 賃貸借契約書
  • 保険証券
  • 遺言書
  • 年金関係書類
  • 借金の督促状
  • 不動産関係書類
  • 貴金属
  • 写真
  • 手紙
  • スマートフォン
  • パソコン

探索品リストを渡す

見つけてほしい物を、書面で業者へ渡します。

探索品の例

  • 通帳
  • 印鑑
  • 現金
  • 権利証
  • 遺言書
  • 保険証券
  • 貴金属
  • 写真
  • 携帯電話
  • 借入関係書類

見つかった物の扱いを決める

  • 写真を撮る
  • 一覧表を作る
  • 封印して保管する
  • 親族立会い時に引き渡す
  • 宅配便で送る
  • 管理会社へ預けない

作業当日に確認すること

□ 契約した会社の作業員か
□ 作業責任者は誰か
□ 作業範囲に変更がないか
□ 追加作業が必要な場合の連絡方法
□ 共用部分を養生しているか
□ 汚染物を密閉しているか
□ 近隣へ臭いが漏れない対策をしているか
□ 貴重品を記録しているか
□ 作業前の写真を撮っているか
□ 廃棄物の搬出業者を確認したか

契約外の追加作業が必要になった場合は、作業前に写真、理由、追加金額を知らせてもらいます。


作業完了後に確認すること

作業が終わったら、すぐに残金を支払うのではなく、内容を確認します。

室内確認

  • 体液や汚染が残っていないか
  • 害虫が残っていないか
  • 臭いが残っていないか
  • 床や壁の撤去範囲が見積りどおりか
  • 残す予定の遺品があるか
  • 共用部分を汚していないか
  • 建物を破損していないか
  • 鍵が返却されたか

受け取る書類

  • 作業完了報告書
  • 作業前後の写真
  • 最終請求書
  • 領収書
  • 廃棄物処理に関する明細
  • 買取明細書
  • 発見品一覧
  • 消臭保証書
  • 原状回復工事の見積書

管理会社にも確認してもらう

賃貸住宅の場合は、特殊清掃完了後に管理会社へ室内を確認してもらいます。

特殊清掃が終わっても、壁紙や床の張替えなどの原状回復工事が必要になることがあります。


特殊清掃費を誰が支払うのか

特殊清掃費の負担者は、賃貸借契約、相続、連帯保証契約、保険などによって異なります。

相続人

故人の賃貸借契約上の債務として、相続人へ請求される可能性があります。

ただし、相続放棄が受理された場合は、相続人としての責任を原則として引き継ぎません。

連帯保証人

連帯保証契約の保証範囲に特殊清掃費や原状回復費が含まれる場合、請求を受ける可能性があります。

ただし、契約内容、極度額、敷金、保険金などを確認する必要があります。

大家・管理会社

保険で補償される部分、通常損耗、経年劣化、建物全体の改修などは、貸主側の負担となる場合があります。

保険会社

次の保険から補償される可能性があります。

  • 入居者の火災保険
  • 借家人賠償責任保険
  • 大家の孤独死保険
  • 残置物処理費用保険
  • 家賃損失補償
  • 家賃保証会社の補償

特殊清掃を契約する前に、管理会社や保険会社へ連絡してください。

先に作業すると、保険会社指定の写真や見積りが不足し、補償の判断に影響する可能性があります。


管理会社が業者を指定した場合

管理会社から、

「指定業者でなければ認めない」

と言われる場合があります。

まず、指定の理由を確認します。

確認すること

  • 建物の管理上必要な指定か
  • 保険会社の指定か
  • 共用部分の安全管理のためか
  • 指定業者の見積書を見られるか
  • 他社見積りを取れるか
  • 誰が業者と契約するのか
  • 誰が費用を支払うのか
  • 追加料金を誰が承認するのか

管理会社が手配した業者であっても、請求を遺族や連帯保証人へ回す場合は、作業内容と金額の確認が必要です。


業者へ問い合わせるときの文例

「東京都内の賃貸住宅で孤独死があり、特殊清掃を検討しています。

警察の現場確認は終了しています。部屋の間取りは1Kで、発見までの日数は約○日です。床または寝具に汚染があり、臭いの程度は○○です。

次の内容について教えてください。

1.現地見積りの料金
2.特殊清掃の作業内容
3.消毒、害虫駆除、消臭の料金
4.床や壁の撤去が必要な場合の追加料金
5.遺品整理を含むか
6.廃棄物を運搬する許可業者名
7.見積り後に追加料金が発生する条件
8.消臭保証の内容
9.損害賠償保険の有無
10.作業前後の写真と報告書の発行可否

見積書は、作業項目ごとの金額が分かる形式でお願いします。」


見積りを断るときの文例

「お見積りをいただき、ありがとうございました。検討の結果、今回は契約を見送ります。現地見積り、出張費、キャンセル料などが発生する場合は、事前説明の内容と金額を書面でお知らせください。」


追加料金を求められた場合の文例

「追加作業の必要性を確認するため、該当箇所の写真、追加作業の内容、追加料金、作業を行わない場合の影響を書面で提示してください。内容を確認して承認するまでは、追加作業を行わないでください。」


作業後に臭いが残った場合の文例

「○月○日に特殊清掃が完了しましたが、現在も室内に臭いが残っています。契約時に説明された作業内容および消臭保証に基づき、現地確認と再施工について書面で回答してください。」


トラブルになった場合の相談先

消費生活センター

契約後の高額請求、説明のない追加料金、キャンセル料、強引な契約などは、消費生活センターへ相談できます。

消費者ホットライン「188」へ電話すると、地域の消費生活相談窓口につながります。国民生活センターも、遺品整理サービスの料金や作業内容に関するトラブルへ注意を呼びかけています。

市区町村の廃棄物担当部署

廃棄物を回収する業者の許可については、物件がある市区町村の清掃・廃棄物担当部署へ確認します。

警察

脅迫、恐喝、無断持出し、貴重品の盗難、不法投棄などが疑われる場合は、警察へ相談します。

弁護士

次の場合は、弁護士へ相談してください。

  • 請求額が高額
  • 契約内容と請求内容が異なる
  • 管理会社との責任分担で争いがある
  • 相続放棄を検討している
  • 連帯保証人として請求された
  • 貴重品がなくなった
  • 裁判所から書類が届いた

特殊清掃業者選定チェックリスト

会社の確認

□ 正式な会社名がある
□ 所在地が確認できる
□ 代表者名が確認できる
□ 担当者が名乗る
□ 法人情報を確認できる
□ 損害賠償保険へ加入している

見積りの確認

□ 現地を確認している
□ 見積書が項目別になっている
□ 消費税込みの総額が分かる
□ 追加料金の条件が書かれている
□ キャンセル料が明記されている
□ 支払時期が明記されている

作業内容の確認

□ 汚染箇所を説明できる
□ 消毒方法を説明できる
□ 消臭方法を説明できる
□ 床や壁の撤去範囲を説明できる
□ 作業前後の写真を残す
□ 作業報告書を発行する
□ 再施工条件を説明する

廃棄物処理の確認

□ 一般廃棄物の処理方法を説明できる
□ 許可業者名を答えられる
□ 処分費が明記されている
□ 不用品と買取品を分ける
□ 買取明細書を発行する

遺品の確認

□ 貴重品を記録する
□ 発見品一覧を作る
□ 残す物と処分品を区別する
□ 勝手に買取や処分をしない
□ 写真や書類を確認してくれる


よくある質問

特殊清掃は自分でできますか

体液、腐敗臭、害虫などが発生している場合は、一般の人が自分で作業することはおすすめできません。

感染、薬剤、害虫、臭いの拡散などの問題があるため、専門業者へ相談する方が安全です。

また、床を水洗いすると、汚染を床下へ広げることがあります。

すぐに窓を開けた方がよいですか

無断で入室せず、まず警察と管理会社へ確認してください。

窓を開けることで臭いが近隣へ広がったり、害虫が外へ出たりすることがあります。

消臭剤を置くだけでは駄目ですか

臭いの原因となる汚染物が残っている場合、消臭剤や芳香剤だけでは根本的な解決になりません。

先に汚染源を除去し、その後に消臭処理を行います。

オゾンを使えば必ず臭いが消えますか

オゾン脱臭は消臭方法の一つですが、汚染源が残っている状態では十分な効果が出ない場合があります。

床下や壁内部へ汚染が浸透している場合は、撤去や封じ込め処理などが必要になることがあります。

安い業者と高い業者の違いは何ですか

作業範囲、使用機材、消臭回数、廃棄物処理、作業報告、保証、原状回復工事の有無などが異なります。

総額だけではなく、何が含まれているかを比較してください。

見積り後に料金が上がることはありますか

床材を剥がした後で新たな汚染が見つかるなど、追加作業が必要になる場合があります。

ただし、追加条件、料金、承認方法を契約前に決めておく必要があります。

管理会社が依頼した費用を必ず払う必要がありますか

誰が契約したか、賃貸借契約の内容、相続関係、連帯保証契約、保険、作業内容などによって異なります。

請求を受けたら、見積書、請求書、作業写真、保険金の支払状況などを確認してください。

相続放棄をする予定でも特殊清掃を依頼できますか

緊急の消毒や汚染拡大防止が必要な場合はありますが、相続財産の処分と評価される可能性がある行為には注意が必要です。

相続放棄を検討していることを業者と管理会社へ伝え、家財処分を含む契約をする前に弁護士へ相談してください。


まとめ

特殊清掃を依頼するときは、料金の安さだけで業者を選ばないことが重要です。

まず、次の5点を確認してください。

  1. 現地調査後に項目別の見積書を出すか
  2. 追加料金の条件を事前に説明するか
  3. 汚染源と必要な作業を説明できるか
  4. 廃棄物を許可業者が適正に処理するか
  5. 作業後の写真、報告書、保証があるか

特殊清掃の料金は、1R・1Kでも10万円から30万円程度以上になることがあり、床下の汚染、大量の家財、原状回復工事などが加わると、さらに高額になる可能性があります。

依頼前には2社から3社へ見積りを取り、総額ではなく、作業範囲、処分方法、追加料金、保証内容を比較してください。

また、相続放棄を検討している場合、連帯保証人として請求を受けている場合、管理会社から高額な費用を請求された場合は、特殊清掃業者だけでなく、弁護士などの専門家にも相談することが大切です。


注意事項

本記事に掲載した料金は、民間事業者が公表している料金例などを参考にした一般的な目安です。

特殊清掃には公的な統一料金がなく、実際の料金は、地域、間取り、発見までの期間、季節、汚染範囲、家財量、搬出条件、消臭回数、原状回復工事の有無などによって異なります。

契約前に必ず現地見積りを取り、作業内容、追加料金、廃棄物処理、保証条件を書面で確認してください。

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