身内が賃貸住宅で孤独死し、自分が連帯保証人だった場合の対応

相続放棄との違い、請求内容の確認、支払いまでの手順

身内が賃貸住宅で孤独死した後、管理会社や大家から、

「あなたは連帯保証人なので、未払い家賃、特殊清掃費、原状回復費を支払ってください」

と連絡を受けることがあります。

このとき、慌てて全額を支払うと約束してはいけません。

連帯保証人には一定の責任がありますが、管理会社から請求された金額のすべてを、無条件で支払わなければならないとは限りません。

まず確認しなければならないのは、次の点です。

  • 本当に連帯保証人として契約しているか
  • 契約が現在も有効か
  • 保証する金額に上限があるか
  • 何の費用を請求されているか
  • 保証会社や保険から支払われる金額がないか
  • 故人の相続財産や敷金から精算できないか
  • 通常損耗や経年劣化まで請求されていないか

この記事では、地方在住の親族が、東京都内の賃貸住宅で孤独死した身内の連帯保証人になっていたケースを想定し、対応の順序を分かりやすく解説します。


想定するモデルケース

亡くなった人

  • 78歳の男性
  • 東京都内の賃貸アパートで一人暮らし
  • 室内で死亡し、数日後に発見された
  • 家賃を2か月滞納している
  • 特殊清掃が必要
  • 部屋には家具や家電が残っている
  • 預貯金や借金の状況は不明
  • 賃貸契約時に家賃保証会社も利用していた可能性がある

対応する親族

  • 故人の長女
  • 地方都市に在住
  • 賃貸借契約の連帯保証人欄に署名した記憶がある
  • 契約した時期は十数年前
  • その後の契約更新書類は見ていない
  • 故人の相続放棄も検討している
  • 管理会社から高額な清掃費と修繕費を請求されている

最初に結論

自分が連帯保証人になっている可能性がある場合は、次の順序で対応します。

  1. 電話だけで支払いを約束しない
  2. 連帯保証契約書の写しを取り寄せる
  3. 緊急連絡先と連帯保証人を区別する
  4. 契約日と更新状況を確認する
  5. 保証の上限額である「極度額」を確認する
  6. 請求額の内訳と根拠資料を取り寄せる
  7. 敷金、保証会社、保険による精算を確認する
  8. 通常損耗や経年劣化が含まれていないか調べる
  9. 相続放棄と連帯保証人責任を分けて判断する
  10. 妥当な金額だけを支払うか、専門家へ相談する

特に重要なのは、相続放棄をしても、自分が直接締結した連帯保証契約まで当然に消えるわけではないという点です。


第1段階 その場で全額の支払いを約束しない

管理会社や大家から電話が来ても、すぐに、

「私が全部支払います」

とは答えないでください。

まず、契約書と請求内容を確認する必要があります。

最初の返答例

「連帯保証契約の内容と請求額の根拠を確認した上で回答します。賃貸借契約書、連帯保証契約書、更新契約書、請求明細、室内写真、見積書、保証会社および保険による支払状況を、書面またはメールで送ってください。現時点では支払いを確約できません。」

電話で言わない方がよい言葉

  • 私がすべて払います
  • どのような費用でも負担します
  • 故人の責任なので仕方ありません
  • 見積りは必要ありません
  • 家財はすべて捨ててください
  • 故人の預金から支払ってください
  • 分割で必ず払います
  • 相続放棄しないので大丈夫です

電話での会話は、日時、相手の氏名、所属、請求内容をメモします。


第2段階 本当に連帯保証人か確認する

最初に、自分がどの立場で登録されているかを確認します。

次の3つは意味が異なります。

連帯保証人

借主が家賃などを支払わない場合、契約の範囲内で支払いを求められる可能性があります。

通常の保証人とは異なり、連帯保証人は「まず借主本人へ請求してください」などと主張できない場面があります。

保証人

一定の保証責任を負う立場ですが、連帯保証人とは法的な扱いが異なることがあります。

緊急連絡先

病気、事故、家賃滞納、死亡などがあった場合の連絡先です。

緊急連絡先として名前や電話番号を書いただけであれば、通常、それだけで家賃や修繕費を支払う義務が生じるわけではありません。

確認する書類

  • 賃貸借契約書
  • 連帯保証契約書
  • 保証人承諾書
  • 重要事項説明書
  • 契約更新書
  • 保証会社との契約書
  • 入居申込書
  • 緊急連絡先届
  • 印鑑証明書の提出記録
  • 自分が署名・押印した書類

管理会社に対して、署名や押印がある契約書の写しを求めます。


第3段階 自分の署名と契約成立を確認する

契約書に自分の名前が書かれていても、直ちに有効な連帯保証契約が成立しているとは限りません。

確認する項目

  • 自分が実際に署名したか
  • 自分の印鑑を使用したか
  • 代理人が署名していないか
  • 契約内容の説明を受けたか
  • 保証する債務が明記されているか
  • 契約日が記載されているか
  • 貸主または管理会社の記名があるか
  • 契約書の改ざんや追記がないか
  • 更新時に新しい保証契約を締結したか

自分の署名ではない、自分の意思で契約していない、印鑑を無断使用された可能性がある場合は、支払いを認めず、早めに弁護士へ相談してください。


第4段階 契約日を確認する

連帯保証契約では、契約日が非常に重要です。

2020年4月1日に施行された改正民法では、個人が賃貸借契約などの継続的な債務を保証する個人根保証契約について、責任を負う上限額である「極度額」を定めなければ、原則として契約の効力が生じない仕組みが導入されました。

2020年4月1日以後に締結した契約

個人の連帯保証人について、契約書に極度額が明確に記載されているか確認します。

例として、次のような記載があります。

  • 極度額100万円
  • 月額賃料の24か月分
  • 120万円を上限とする

金額が確定できない曖昧な表現である場合や、極度額の記載がない場合は、保証契約の有効性が問題になる可能性があります。

2020年3月31日以前の契約

改正民法施行前に締結された保証契約については、原則として契約当時の法律が適用されるため、極度額の記載がないという理由だけで、直ちに無効になるとは限りません。

ただし、その後に契約を更新した、新しく保証契約を締結した、保証内容を変更したなどの事情がある場合は、どの時点の法律が適用されるか個別に確認する必要があります。

必ず確認する日付

  • 最初の賃貸借契約日
  • 最初の連帯保証契約日
  • 賃貸借契約の更新日
  • 保証契約の更新日
  • 賃料が変更された日
  • 借主や貸主が変更された日
  • 管理会社が変更された日

第5段階 極度額を確認する

極度額とは、個人の連帯保証人が負担する可能性がある金額の上限です。

例えば、契約書に「極度額100万円」と書かれている場合、契約上の保証対象に含まれる債務であっても、原則として責任の上限を確認する基準は100万円になります。

極度額の確認ポイント

  • 金額が数字で明記されているか
  • 「賃料○か月分」など計算可能な記載か
  • 消費税を含むか
  • 家賃だけでなく修繕費も含むか
  • 遅延損害金を含むか
  • 訴訟費用や弁護士費用を含むか
  • すでに支払った金額が上限に算入されるか
  • 保証会社から支払われた金額との関係

極度額が100万円だからといって、管理会社が自動的に100万円を請求できるわけではありません。

実際に発生し、契約上保証対象となる債務を積み上げた金額が請求の基礎になります。


第6段階 請求額を項目ごとに分ける

管理会社から「合計200万円」などと請求された場合でも、総額だけで判断してはいけません。

必ず費用を分けてもらいます。

主な請求項目

  • 未払い家賃
  • 契約終了までの家賃
  • 共益費
  • 更新料
  • 遅延損害金
  • 特殊清掃費
  • 消毒費
  • 消臭費
  • 害虫駆除費
  • 汚染部分の撤去費
  • 床や壁の修繕費
  • 家具や家電の撤去費
  • 残置物の保管費
  • 鍵交換費
  • 通常の原状回復費
  • 空室期間の家賃損失
  • 近隣住民への対応費
  • 弁護士費用
  • 事務手数料

各項目について、契約上の根拠、発生理由、金額の計算方法を求めます。


第7段階 書面で取り寄せる資料

請求の妥当性を判断するには、次の資料が必要です。

契約関係

  • 賃貸借契約書
  • 連帯保証契約書
  • 更新契約書
  • 重要事項説明書
  • 特約一覧
  • 保証会社との契約書
  • 火災保険証券
  • 孤独死保険に関する資料

家賃関係

  • 家賃台帳
  • 入金履歴
  • 滞納月の一覧
  • 共益費の明細
  • 遅延損害金の計算書
  • 契約終了日の根拠

清掃・修繕関係

  • 発見時の室内写真
  • 作業前の写真
  • 作業後の写真
  • 特殊清掃の見積書
  • 特殊清掃の請求書
  • 原状回復工事の見積書
  • 工事項目ごとの単価
  • 工事範囲が分かる図面
  • 廃棄物処理の明細
  • 実際に支払ったことが分かる領収書

精算関係

  • 敷金精算書
  • 保証会社から支払われた金額
  • 保険会社から支払われた金額
  • 故人の相続財産から支払われた金額
  • ほかの保証人が支払った金額

同じ損害について、保険、保証会社、敷金、連帯保証人から重複して回収されていないか確認します。


第8段階 未払い家賃を確認する

未払い家賃は、連帯保証人へ請求される可能性が高い項目の一つです。

ただし、請求月数と契約終了時期を確認します。

確認すること

  • 何月分から滞納しているか
  • 故人の死亡日はいつか
  • 管理会社が死亡を知った日はいつか
  • 契約を終了させた日はいつか
  • 鍵を返却した日はいつか
  • 部屋を実際に明け渡した日はいつか
  • 保証会社が代位弁済していないか
  • 敷金から差し引いていないか
  • 家賃の二重請求がないか

故人の死亡後も賃貸借契約や明渡しの問題が残ることがありますが、管理会社の対応が遅れた期間まで、すべて無制限に保証人負担になるとは限りません。

請求期間が長い場合は、契約終了や明渡しが遅れた理由を確認します。


第9段階 特殊清掃費を確認する

孤独死では、体液、臭い、害虫などに対応するため、特殊清掃が必要になることがあります。

特殊清掃費が実際に発生していても、その全額が直ちに連帯保証人負担になるとは限りません。

確認すること

  • 特殊清掃が本当に必要だったか
  • どの部分が汚染されていたか
  • 誰が業者へ依頼したか
  • 複数業者から見積りを取ったか
  • 作業内容と金額が妥当か
  • 通常清掃費が混在していないか
  • 解体工事が必要だった理由
  • 保険が利用されていないか
  • 契約上、保証対象に含まれるか

特殊清掃と原状回復を分ける

特殊清掃は、体液、臭い、害虫などの除去を目的とする作業です。

原状回復は、賃貸住宅を明け渡す際の修繕や復旧に関する問題です。

両者を一つの「清掃費」としてまとめず、別々の明細を求めます。


第10段階 原状回復費を確認する

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、賃借人の通常の使用による損耗や、時間の経過による劣化は、原則として賃料に含まれるという基本的な考え方が示されています。一方、借主の故意・過失や通常の使用を超える損傷などは、借主側の負担となる場合があります。

連帯保証人へ請求されても確認が必要なもの

  • 古くなった壁紙の全面交換
  • 日焼けによる畳の変色
  • 家具を置いていた床のへこみ
  • 通常使用による床の摩耗
  • 設備の老朽化
  • 耐用年数を過ぎた設備の新品交換
  • 入居前からあった傷
  • 建物全体の改修費
  • 次の入居者向けのリフォーム費
  • 通常のハウスクリーニング費

孤独死による汚損部分

死亡により直接汚損した床、壁、下地などは、通常損耗とは異なる問題になります。

ただし、その場合でも、

  • 汚損した範囲
  • 設備や内装材の使用年数
  • 修繕の必要範囲
  • 新品へ交換する必要性
  • 経年劣化分の考慮
  • 工事単価の妥当性

を確認します。

古い内装材を新品へ交換する費用のすべてを、そのまま保証人へ請求できるとは限りません。


第11段階 敷金を先に精算しているか確認する

故人が入居時に敷金を預けていた場合、未払い家賃や原状回復費などと精算される可能性があります。

確認すること

  • 敷金はいくらか
  • 敷金を誰が保管しているか
  • どの費用へ充当したか
  • 敷金精算書があるか
  • 敷金残額があるか
  • 敷金を差し引く前の金額を請求されていないか

例えば、請求額が80万円、敷金が20万円ある場合、敷金を考慮せず80万円全額を連帯保証人へ請求していないか確認します。

敷金の残額が出る場合は、故人の相続財産として扱われる可能性があります。


第12段階 家賃保証会社を確認する

最近の賃貸住宅では、連帯保証人に加えて家賃保証会社を利用している場合があります。

保証会社が未払い家賃などを大家へ支払っている場合、大家からではなく保証会社から請求を受けることがあります。

確認すること

  • 保証会社名
  • 保証契約の範囲
  • 代位弁済した金額
  • 代位弁済した日
  • 家賃以外の費用も保証したか
  • 特殊清掃費が保証対象か
  • 原状回復費が保証対象か
  • 連帯保証人も保証会社との契約当事者か
  • 大家からの請求と重複していないか

大家が保証会社から家賃を受け取っているにもかかわらず、同じ家賃を連帯保証人へ重ねて請求していないか確認します。


第13段階 火災保険や孤独死保険を確認する

賃貸住宅によっては、孤独死に伴う特殊清掃費、原状回復費、残置物処理費、空室損失などを補償する保険が付いていることがあります。

確認する保険

  • 入居者が契約した火災保険
  • 借家人賠償責任保険
  • 大家が契約した孤独死保険
  • 管理会社が付帯している保険
  • 少額短期保険
  • 残置物処理費用保険
  • 家賃損失補償

管理会社へ確認する質問

「今回の死亡について、火災保険、借家人賠償責任保険、孤独死保険、家賃保証会社などへ保険金または保証金を請求していますか。支払済みまたは支払予定の金額と対象項目を書面で提示してください。」

保険から補償された部分を、重ねて連帯保証人へ請求することがないよう確認します。


第14段階 空室期間の家賃損失を確認する

孤独死後、消臭や修繕が必要となり、一定期間、新しい入居者を募集できないことがあります。

管理会社や大家から、その期間の家賃損失を請求される場合があります。

ただし、請求された期間や金額がすべて妥当とは限りません。

確認すること

  • 実際に募集できなかった期間
  • 工事が必要だった期間
  • 管理会社の都合で工事が遅れた期間
  • 通常の退去でも必要だった修繕期間
  • 募集を開始した日
  • 次の入居者が決まった日
  • 賃料を減額した事実
  • 契約書に損害賠償条項があるか
  • 連帯保証契約の保証範囲に含まれるか
  • 極度額を超えていないか

長期間の家賃全額を請求された場合は、弁護士へ確認するのが安全です。


第15段階 相続放棄との関係を理解する

自分が故人の相続人でもあり、同時に賃貸借契約の連帯保証人である場合は、責任を二つに分けて考えます。

相続人としての責任

故人が負っていた借金、未払い家賃などを、相続によって引き継ぐ可能性があります。

家庭裁判所で相続放棄が受理されれば、原則として、故人から相続する権利と義務を引き継がないことになります。

連帯保証人としての責任

自分自身が連帯保証契約を締結したことによって生じる責任です。

これは故人から相続した責任ではなく、自分が契約したことによる責任です。

したがって、相続放棄をしても、連帯保証契約に基づく責任が当然になくなるとは限りません。

具体例

長女が父親の相続を放棄した場合、父親の消費者金融の借金は、原則として相続しません。

しかし、長女自身が父親の賃貸借契約の連帯保証人になっていた場合、その保証契約の範囲内では、家賃などを請求される可能性があります。


第16段階 相続放棄は別途期限内に行う

連帯保証人であることと、相続放棄をするかどうかは別問題です。

故人にほかの借金がある場合は、連帯保証人としての対応と並行して、相続放棄を検討します。

相続放棄は、原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述します。

注意すること

  • 連帯保証人だから相続放棄できないわけではない
  • 相続放棄をしても保証責任が必ず消えるわけではない
  • 保証債務を支払ったことだけで、必ず相続を承認したことになるとは限らない
  • 故人の財産を使った支払いは別の問題になる
  • 相続放棄の期限を過ぎないようにする

相続放棄を予定している場合は、故人の預金を使って家賃や清掃費を支払わず、弁護士へ確認してください。


第17段階 保証責任の範囲を計算する

請求額が届いたら、次の順序で計算します。

1.実際に発生した費用を確認する

  • 未払い家賃
  • 妥当な特殊清掃費
  • 妥当な原状回復費
  • 契約上認められるその他の費用

2.差し引く金額を確認する

  • 敷金
  • 保証会社の支払額
  • 保険金
  • 故人の相続財産からの支払額
  • ほかの保証人からの支払額
  • 管理会社が免除した金額

3.契約上の保証範囲を確認する

発生した費用であっても、連帯保証契約の対象外であれば、保証人へ請求できない可能性があります。

4.極度額を確認する

有効な極度額が定められている場合は、その上限を確認します。

計算例

管理会社からの請求が次の場合を考えます。

  • 未払い家賃:20万円
  • 特殊清掃費:40万円
  • 原状回復費:60万円
  • 合計:120万円

一方、次の精算があるとします。

  • 敷金:10万円
  • 保険金:30万円
  • 保証会社の支払額:20万円

単純計算では、未精算額は60万円です。

ただし、原状回復費に通常損耗や経年劣化が含まれていれば、さらに減額される可能性があります。

また、契約上の極度額が50万円であれば、保証責任の上限についても確認が必要です。


第18段階 管理会社へ書面で回答する

資料を確認する前に支払いを約束せず、まず書面で回答します。

資料請求の文例

「故人○○○○の賃貸借契約に関する請求について、連帯保証契約の成立、保証範囲、保証上限額および請求額の妥当性を確認する必要があります。

次の資料を郵送またはメールでお送りください。

1.賃貸借契約書
2.連帯保証契約書
3.契約更新書類
4.家賃の入金履歴および滞納明細
5.特殊清掃の見積書、請求書、作業前後の写真
6.原状回復工事の見積書、請求書、工事項目別明細
7.敷金精算書
8.保証会社による支払内容
9.保険金の支払内容
10.各請求項目の契約上および法的な根拠

資料を確認するまでは、債務の承認および支払いの確約はできません。」


第19段階 請求内容に疑問がある場合の回答

金額に納得できない場合の文例

「ご提示いただいた請求については、通常損耗、経年劣化、保険による補償、敷金および保証会社からの支払額が十分に反映されているか確認できません。

また、連帯保証契約の保証範囲および極度額との関係も明確ではありません。

各項目の必要性、数量、単価、施工範囲、減価償却または経年劣化の考慮内容を示した資料をご提示ください。内容を確認するまで支払いには応じられません。」

極度額を超えている場合の文例

「連帯保証契約書には極度額○円と記載されています。今回の請求額は当該金額を超えているため、極度額との関係を整理した計算書をご提示ください。」

緊急連絡先にすぎない場合の文例

「私は本件賃貸借契約の緊急連絡先として登録されたものであり、連帯保証契約を締結した認識はありません。連帯保証契約の成立を示す、私の署名または押印がある契約書の写しをご提示ください。」


第20段階 支払う場合も合意書を確認する

請求内容を確認し、一定額を支払う場合でも、口頭だけで支払わないようにします。

支払前に確認すること

  • 最終的な支払総額
  • 支払う項目
  • 分割払いの回数
  • 支払期限
  • 振込先
  • 遅延損害金
  • 支払い後に追加請求があるか
  • 支払いにより全請求が終了するか
  • 保証人としての責任が終了するか
  • 合意書や精算書が発行されるか

合意書に入れてもらいたい内容

「連帯保証人が合意金○円を支払ったことにより、本件賃貸借契約、特殊清掃、原状回復、残置物処理その他に関して、貸主および管理会社は連帯保証人に対し、今後一切の追加請求を行わない。」

実際の合意書の内容は、金額が大きい場合には弁護士へ確認してください。


第21段階 一括で支払えない場合

請求が妥当でも、一括で支払えない場合は、分割払いについて交渉します。

分割交渉で伝えること

  • 月々支払える金額
  • 支払開始日
  • 支払回数
  • ボーナス払いの可否
  • 遅延損害金の減額または免除希望
  • 一括和解による減額の希望
  • 高齢、年金生活、収入状況など

分割払いの文例

「請求内容を確認した結果、一定の支払義務があることは理解しています。ただし、一括での支払いは困難です。月額○円、○回払いによる解決を希望します。分割払いの完了をもって、本件に関するすべての請求を終了する内容の合意書をご提示ください。」

分割払いの合意をするときは、支払総額が増えていないか、遅延時に残額を一括請求される条項がないか確認します。


第22段階 すでに支払ってしまった場合

管理会社から言われるまま全額または一部を支払った場合でも、請求内容に疑問があれば資料を取り寄せます。

確認すること

  • 何の費用として支払ったか
  • 領収書があるか
  • 支払い時に合意書へ署名したか
  • 「債務をすべて認める」と書かれていないか
  • 保険や保証会社から重複して支払われていないか
  • 極度額を超えていないか
  • 通常損耗が含まれていないか

過払いの可能性や契約の有効性に問題がある場合は、返還を求められる可能性もあるため、弁護士へ相談してください。


第23段階 裁判所から書類が届いた場合

管理会社、大家、保証会社などが訴訟や支払督促を申し立てると、裁判所から書類が届くことがあります。

裁判所からの書類を放置してはいけません。

届く可能性がある書類

  • 支払督促
  • 訴状
  • 口頭弁論期日呼出状
  • 答弁書催告状
  • 仮執行宣言付支払督促
  • 強制執行に関する書類

対応

  • 受け取った日を記録する
  • 封筒も保管する
  • 回答期限を確認する
  • 管理会社へ直接電話するだけで済ませない
  • 弁護士へ書類一式を見せる
  • 期限内に異議申立てや答弁書を提出する

裁判所の書類を無視すると、相手の主張どおりの判断が出て、預金や給与などへの強制執行につながる可能性があります。


弁護士へ早く相談した方がよいケース

次のいずれかに当てはまる場合は、自分だけで交渉せず、弁護士へ相談してください。

  • 請求額が高額
  • 極度額を超える請求を受けた
  • 契約書に極度額がない
  • 契約日や更新日が不明
  • 自分が署名した記憶がない
  • 印鑑を無断で使われた可能性がある
  • 空室期間の家賃を長期間請求された
  • 高額な特殊清掃費を請求された
  • 全面改修費を請求された
  • 保険金額を教えてもらえない
  • 保証会社と大家の両方から請求された
  • 支払督促や訴状が届いた
  • 相続放棄の期限も迫っている
  • 自分にも借金があり支払いが難しい
  • 管理会社から強い口調で支払いを迫られている

連帯保証人対応チェックリスト

連絡を受けた当日

□ 支払いを即答しない
□ 担当者名と連絡先を記録する
□ 請求総額と項目を聞く
□ 書面での資料送付を求める
□ 自分が連帯保証人か確認する
□ 相続放棄の期限も確認する

契約書が届いたら

□ 自分の署名を確認する
□ 契約日を確認する
□ 更新日を確認する
□ 極度額を確認する
□ 保証対象を確認する
□ 緊急連絡先との違いを確認する
□ 保証会社の有無を確認する

請求書が届いたら

□ 未払い家賃を確認する
□ 滞納期間を確認する
□ 特殊清掃費を確認する
□ 原状回復費を確認する
□ 通常損耗を除いているか確認する
□ 経年劣化を考慮しているか確認する
□ 敷金を差し引いているか確認する
□ 保険金を差し引いているか確認する
□ 保証会社の支払額を確認する
□ 極度額を超えていないか確認する

支払う前

□ 最終精算書を受け取る
□ 追加請求の有無を確認する
□ 支払後の責任終了を確認する
□ 領収書の発行を確認する
□ 合意書を読む
□ 高額な場合は弁護士へ相談する


よくある質問

相続放棄をすれば連帯保証人の責任もなくなりますか

原則として、相続放棄だけで、自分が直接締結した連帯保証契約上の責任が当然になくなるわけではありません。

相続放棄は、故人から財産や借金を引き継がないための手続きです。

連帯保証人責任は、自分自身が契約したことによって生じるため、別に判断されます。

緊急連絡先になっただけでも支払う必要がありますか

通常、緊急連絡先として登録されただけでは、連帯保証人と同じ支払義務は生じません。

連帯保証契約書へ署名したかどうかを確認してください。

連帯保証人になった記憶がありません

管理会社へ、自分の署名や押印がある契約書の写しを求めます。

署名が自分のものではない、印鑑を無断使用されたなどの可能性がある場合は、支払いを認めず弁護士へ相談します。

契約書に極度額がありません

2020年4月1日以後に締結された個人根保証契約では、極度額の定めが重要です。

一方、それ以前に締結された契約には、改正前の法律が適用される可能性があります。

契約日、更新状況、契約変更の有無を確認し、専門家へ相談してください。

大家と保証会社の両方から請求されています

同じ未払い家賃について重複請求になっていないか確認します。

保証会社が大家へ支払った場合、保証会社が求償することがありますが、大家が同じ金額を再度請求できるとは限りません。

双方へ支払内容と計算書を求めてください。

特殊清掃費は全額払わなければなりませんか

特殊清掃が必要であったとしても、作業内容、金額、保険金、契約上の保証範囲、極度額などを確認する必要があります。

見積書や写真がない状態で、言われた金額をそのまま支払う必要はありません。

部屋の全面リフォーム代を請求されました

死亡によって直接必要になった修繕と、通常損耗、経年劣化、設備更新、次の入居者向けリフォームを分けてください。

国土交通省のガイドラインを参考に、工事項目、施工範囲、使用年数、負担割合を確認します。

支払えない場合はどうなりますか

まず、請求が妥当か確認します。

妥当な請求であっても支払いが難しい場合は、分割払い、減額和解などを交渉します。

ほかにも借金があり返済が困難な場合は、債務整理を含めて弁護士または司法書士へ相談してください。


管理会社へ送る基本回答文

「故人○○○○の賃貸借契約に関するご連絡を受けました。

私は連帯保証人として登録されている可能性がありますが、契約内容、契約期間、保証範囲、極度額および請求内容を確認する必要があります。

つきましては、賃貸借契約書、連帯保証契約書、更新契約書、滞納家賃明細、特殊清掃および原状回復の見積書・請求書・写真、敷金精算書、保証会社および保険会社からの支払内容をご提示ください。

資料を確認するまで、債務の承認および支払いの確約はできません。

また、電話のみでは内容を正確に確認できないため、今後の請求および回答は、書面またはメールでお願いします。」


まとめ

身内が賃貸住宅で孤独死し、自分が連帯保証人だった場合、連帯保証人として一定の責任を負う可能性があります。

しかし、管理会社や大家から請求された金額を、そのまま全額支払う必要があるとは限りません。

まず、次の5点を確認してください。

  1. 本当に連帯保証契約を締結しているか
  2. 契約日と更新状況はどうなっているか
  3. 極度額はいくらか
  4. 請求額の内訳と根拠は何か
  5. 敷金、保証会社、保険による精算が反映されているか

相続放棄をした場合でも、自分が直接締結した連帯保証契約の責任は別に残る可能性があります。

一方で、通常損耗、経年劣化、保険で補償された費用、保証会社がすでに支払った金額、極度額を超える金額まで無条件で支払う必要があるとは限りません。

請求額が高額な場合、契約書に問題がある場合、裁判所から書類が届いた場合は、早めに弁護士へ相談してください。


注意事項

本記事は、賃貸住宅の連帯保証人となっている場合の一般的な対応を整理したものです。

連帯保証契約の有効性、極度額の適用、契約更新の扱い、特殊清掃費、原状回復費、空室損失、相続放棄との関係は、契約日、契約書の内容、死亡状況、建物の状態などによって異なります。

実際の支払義務や金額については、契約書と請求資料を持参し、弁護士などの専門家へ確認してください。

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